先日トリミングサロンの常連さんからこのような質問を受けました!
それとも訓練士の資格?
私はJKC(犬の血統書を発行している団体)の訓練士補の資格を持っているのでそのように答えたところ・・・。
じゃあ家庭犬のしつけはできないんだね・・・。
と言われてしまい、こちらとしては『??』となってしまいました!
意味がわからないので詳細をお客様に聞いてみると、ネットでは
- ドッグトレーナー=家庭で飼われる犬のしつけ(マナー)を行う職業
- 犬の訓練士=使役犬の訓練をする職業
このようなデマ情報が流れているということ・・・。
訓練士には家庭犬訓練士という職種もあるのですが・・・。
私の先輩や友人は犬の訓練士の資格しかありませんが、家庭犬のしつけを専門にやっている人は沢山います。
また以下を見て頂ければわかりますが、警察犬の訓練士さんも家庭犬のしつけ教室などを開いています。
午後からは犬の訓練の時間です。
選別作業の訓練や、警戒作業の訓練などです。
その他にも一般のお客さんが愛犬と一緒に訓練所へ直接指導を受けにくる「訓練教室」があります。教室では約30分間みっちり指導を受けます。
指導している訓練士さんはすごく頼もしい雰囲気がでていました。
なんで犬に関する情報はデマばかりが流れるのでしょうかね。
ということで、今回はドッグトレーナーと犬の訓練士の違いや、ネットで出回っているデマ情報で誤解されていることを解説していきます。
ドッグトレーナーと犬の訓練士の違い|基本は同じ職業
そもそもドッグトレーナーと犬の訓練士でわけること自体がおかしい話なのですが・・・。
結論から言いますと、ある一定のレベルに達するまではドッグトレーナーも犬の訓練士も同じ職業と言って問題ありません。
ドッグトレーナー、犬の訓練士共に基本とするスキルは同じだからです。
ただ、ネットを見ると色々なサイトで『ドッグトレーナーと犬の訓練士は違う職業』と書いてあるんですよね・・・。
ということで、ネットのデマ情報に反論する形で誤解をといていきたいと思います。
「ドッグトレーナー」は、基本的にペットとして家庭で変われる犬のしつけを行う職業のことです。
飼い主に依頼を受けて、トイレや散歩のルール、無駄吠えや人間の噛みつきを防ぐなど犬と人間が一緒に生きるための、さまざまなマナーを指導します。
一方「犬の訓練士」は、警察犬や災害救助犬、盲導犬、麻薬探知犬などの「使役犬」といわれる犬を訓練する職業です。
使役犬は人命に関わる仕事も行うため、命令に行動が身につくまで厳しい訓練を行います。
訓練士と犬は、上司と部下のような関係を築いていくのが大きな違いです。
引用:キャリアガーデン
ドッグトレーナー・犬の訓練士に関する誤解|「使役犬」にも人と生きるためのマナーは必須
ネットの情報では人と一緒に生きる為のマナーを犬に教えるのはドッグトレーナーの仕事でしたよね。
では、犬の訓練士が扱う「使役犬」にはそのようなマナーは必要ないのでしょうか?
そして犬の訓練士はそのようなマナーは教えられないのでしょうか。
決してそのようなことはありません。
少し想像して欲しいのですが、以下のような盲導犬や警察犬、災害救助犬がいると思いますか?
- トイレの場所がわからず毎回失敗する犬
- 外を歩くときに指示を聞かない犬
- 無駄吠えをする犬
- 人間に噛みつく犬
- 人間の物を破壊する犬
こんな使役犬はいませんよね。
使役犬は人命に関わる仕事もするわけですから、人間と暮らす為のマナーは必須です。
ですので、犬の訓練士も犬と人間が一緒に生きるためのマナーは教えますし、教えられます。
ドッグトレーナー・犬の訓練士に関する誤解|犬の訓練士も家庭犬のしつけはできます
続いてのネットでの誤解は犬の訓練士は家庭犬を扱わないというもの。
仕事を行う事を目的とする犬訓練士は扱う犬種が定まってきます。
もちろんどの犬種でも盲導犬や介助犬になれる可能性がないわけではありませんが、ゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバー、シェパード等が主な犬種となります。
しかし、家庭で生活するペットのしつけを主な目的とするドッグトレーナーは全ての犬種を対象としますので、中には扱いにくくて人に心を開きずらい犬や、しつけの難しい成犬でもマナーを身に着けさせ人と生活しやすくする事ができます。
記事の冒頭で説明した通り、警察犬の訓練士でも家庭犬のしつけは行います。
またショッピングモールなどで行われている犬のしつけ教室や、パピー教室にも犬の訓練士さんが講師として多数参加しています。
私の周りにも訓練士の資格で、犬の保育園やしつけ教室、出張での犬の訓練を行っている方はいます。
そしてその方達は自分の肩書きを犬の訓練士と名乗っています。
ですので、家庭犬をしつけるのはドッグトレーナーの仕事というわけではありません。
また、訓練士が開くしつけ教室には様々な犬種が来ます。
ですので一定の犬種だけを相手にするということはありませんし、ご家庭ではしつけの難しい犬を訓練所で預かり、しつけることもあります。
ドッグトレーナー・犬の訓練士に関する誤解|ドッグトレーナーも高度な技術がいる
このように思う方もいるかもしれませんが、それは間違いです。
ネットでのドッグトレーナーの定義がおかしい為、このように思われがちですが本物のドッグトレーナーのスキルは凄まじいです。
この詳細については後程お話しますね。
なぜドッグトレーナーや犬の訓練士に違いをつけたがるのか【管理人の考え】
ここまでの説明で犬の訓練士も家庭犬のしつけについては十分な知識があることをご理解頂けたでしょうか。
それでは、なぜ『ドッグトレーナーと犬の訓練士は違う』という話が出てきてしまうのでしょうか。
それを説明する為にはまずはドッグトレーナーの定義を見直さないといけません。
ネット上では
ドッグトレーナー=家庭で飼われる犬にマナー(しつけ)を教える職業
となっていますが、実際はドッグトレーナーにも色々な種類があります。
決して『家庭犬にマナー(しつけ)を教えるだけのトレーナー』がドッグトレーナーではないんです。
ドッグトレーナーの種類
- ドッグスポーツのトレーナー(アジリティなど)
- ドッグダンスのトレーナー)
- トリックと呼ばれる芸など教えるトレーナー)
もちろんこのようなトレーナーの方たちは家庭犬のしつけもできますし、昔からドッグトレーナーとも呼ばれていました。
でも不思議なことに今はドッグトレーナーにカウントされておらず、見事にスルーされているんですよ。
そしてどうやらドッグトレーナーと犬の訓練士に違いを付けたがっている人は『家庭犬にマナー(しつけ)を教えるだけのトレーナー』に属する方達のようです。
理由は
他のトレーナーさんや訓練士の方と比べると資格面や技術で見劣りするから
だと思われます。
それはそうですよね。
警察犬訓練士、盲導犬訓練士、災害救助犬訓練士、ドッグスポーツトレーナー、ドッグダンストレーナーなどは家庭犬のしつけに加えて、他にも高度な訓練をする技術があります。
同じ土俵で比べられたら勝負になりません。
それを回避する方法として、
- ドッグトレーナーは家庭犬のしつけを行うプロというイメージを浸透させる
- 比較されないように、他の訓練士や難しいことをするトレーナーは使役犬を扱う別の職業扱いする
- 訓練士や他のトレーナーは別の職業なので家庭犬のしつけには向かないイメージを植え付ける
としている感じが強いです。
単なるイメージ戦略で力量の無さを隠そうとしている感じですね。
犬の訓練士や、もともと存在していたドッグスポーツやドッグダンスのドッグトレーナーさんはいい迷惑ですね!
ドッグトレーナーと犬の訓練士の違いはどの辺から出てくるの?
それではどのレベルからドッグトレーナーと犬の訓練士の仕事内容に違いが出てくるのでしょうか。
簡単にいうとドッグトレーナーと犬の訓練士という違いではなく、その職業専門のことを教える段階で仕事内容に差が出てきます。
ドッグトレーナーや訓練士の名前に職業名が入れば違いが出ると考えてください。
例)
- 警察犬訓練士
- 盲導犬訓練士
- 家庭犬訓練士
- ドッグダンストレーナー
- アジリティドッグトレーナー
同じドッグトレーナーでも、ドッグスポーツのトレーナーとドッグダンスのトレーナーでは必要なスキルが違います。
全く別の職業です。
また、警察犬の訓練と盲導犬の訓練も全くの別物です。
ちなみにドッグダンスを見たことが無い方も多いようなので、どんなものか貼っておきますね!
35秒位から開始になります!
そしてこちらが警察犬訓練に必要な臭気選別訓練の大会の様子!
訓練というと厳しそうなイメージですが、犬も尻尾を振りながら楽しそうに行っていますよね。
記事冒頭の引用では『訓練士と犬は、上司と部下のような関係を築いていく』とありましたが、そのように見えますか?
ドッグスポーツのアジリティもまだまだ珍しいようなのでどぞ!
このレベルまでくれば職業ごとに必要なスキルが明確に分かれますよね。
ですのでなりたい職業がある場合は、ドッグトレーナーと犬の訓練士という呼び方や違いでわけるのではなくて、どの分野のプロになりたいかで選んでくださいね。
そもそもドッグトレーナーと犬の訓練士で区別すること自体がおかしいことなので。
しつこいようですが、このレベルで犬をしつけられる方達が、家庭犬のしつけができないと思いますか?
家庭犬のしつけしかできないトレーナーさんや私では太刀打ちできないスキルですよ。
本当にネットの情報には困ったものですね。
なお『家庭犬の訓練だけできるようになればいいや』という方は、どの職種になるにしても最初に基礎として学びますので、どれを選んでも大差ありません。
ドッグトレーナー(犬の訓練士)の選び方
ここまでドッグトレーナーに対して不安を煽るようなことを書いてきましたので、ドッグトレーナー(犬の訓練士)を選ぶ場合のポイントもお伝えしておきますね。
ドッグトレーナー(犬の訓練士)は資格よりも実務経験を優先
ドッグトレーナー(犬の訓練士)を選ぶ場合は資格よりも実績を聞いて判断しましょう!
ドッグトレーナーや犬の訓練士に関する資格の中には、オンラインや通信教育で取得できてしまう資格もあり、あてになりません。
また、資格を取得しただけで、実務経験がなければ、ドッグトレーナーや訓練士としては全く役に立ちません。
ですので、経験豊富で色々なパターンの犬を見てきたドッグトレーナー(犬の訓練士)を選ぶのがベストです。
ドッグトレーナー(犬の訓練士)は犬や飼い主さんとの相性が大事
これもかなり大事な要素ですが、犬とドッグトレーナー(犬の訓練士)の相性が悪いとなかなかうまくいきません。
やはり犬と人間にも相性はありますので・・・。
この場合はトレーナーさんの方から言ってくれると思うので、もしそのようなことを言われたら別の方を探しましょう。
また、飼い主さんとドッグトレーナー(犬の訓練士)の相性も大事です。
犬のしつけには飼い主さんの協力も必要となってきます。
その時に飼い主さんが素直に言うことを受け入れられるドッグトレーナーさんを選んでくださいね。
ドッグトレーナーと犬の訓練士の違い ~まとめ~
ドッグトレーナーと犬の訓練士の違いをまとめると次の通り
ドッグトレーナーと犬の訓練士の違い
- ドッグトレーナーも犬の訓練士も家庭犬のしつけはできるので違いはない
- ドッグトレーナーと犬の訓練士に違いをつけたがるのは一部の方のイメージ戦略
- もともとのドッグトレーナーは家庭犬にマナー(しつけ)を教えるだけの職業ではない
そもそもドッグトレーナーにも、犬の訓練士にも色々な職種があるわけですから『ドッグトレーナーと犬の訓練士の違い』でわけること自体がおかしいですよね。
そしてドッグトレーナーの定義をネットの情報の通り
家庭で飼われる犬にマナー(しつけ)を教える職業
とするならば、犬の訓練士だろうが、他のトレーナーさんだろうが行うことなので、仕事上の違いはなくなります。
どうも犬に関するネットの情報はおかしい物が多いので、皆さんも騙されないように注意してくださいね!
犬の仕事をしているこちらとしては、営業妨害レベルで迷惑な話ですが・・・。
また、元々は警察犬訓練士やドッグスポーツのトレーナーと活躍していて、その後に家庭犬のしつけのみに専念される方も沢山います。
(ドッグトレーナーで有名な方は、ほとんどがこのパターンですね。)
そして家庭犬のしつけのみを数十年にわたり仕事として行い、とてつもないレベルに達している方もいます。
家庭犬のしつけのみを行っているからといって、スキルが低いとは限りませんので、そこは勘違いしないで下さいね!