トリマーとして働いていると、どうしてもトリミングをお断りしなければならない状況になることがあります。
そしてこの『トリミングを断る』という行為は、犬が好きなトリマーとしては本当にツライこと。
そして、トリミングを断らなければいけない理由は大きく分けて次の2つ。
犬のトリミングを断る理由
- 飼い主さんが原因
- お店の環境や制度と合わない
意外かもしれませんが、ワンちゃん自身に問題があることは少ないです。
ということで今回は『トリミングを断られる犬の特徴』をトリミングサロンの店長の立場から解説したいと思います。
ちなみに美容師の友達を話をしていたら、犬も人間も断る基準は同じでした。
トリミングを断られる犬の特徴|飼主さんが原因の場合
トリミングを断られる犬の特徴の1つが『飼い主さんが原因』となる場合。
飼主さんが原因でトリミングを断る理由は、主に次の2つ。
飼主さんが原因で犬のトリミングを断る場合
- 飼い主さんを信用できない
- 飼い主さんが保護者としての義務を果たさない
信用できない飼い主さんの犬はトリミングを断る
信用できない飼い主さんに飼われている犬はトリミングを断ることになります。
なぜなら『犬は喋れないから』
『犬は喋れないから信用できる人にしか触らせたくないっ!』という飼い主さんが多いですが、それはトリマーも同じ。
犬が喋れないことを逆手にとって、むちゃくちゃなことを言ってくる方もいますからね。
ですので、トリミングは相手との信頼関係が第一!
信用できない飼い主さんの犬に触るべきではありません。
で、どんな飼い主さんを信用でいないかというと、社会やお店のルールを守らない飼い主さんです。
具体例をあげると次のような感じ。
- 無断キャンセルや当日キャンセルを繰り返す
- 毎回遅刻してくる
- 条例で定められたワクチンを打たない
- ノミ・ダニの予防をしない
- カスハラ体質の方
など
そんなに無茶苦茶な要求ではないですよね?
周りに迷惑をかけない為の基本的なルールなはず!
このレベルを無茶な要求だと感じる方とは、そもそもの感覚が違うので・・・。
信頼関係を築くのは無理です。
トリミングはお断りするしかありません。
私も気を付けないと。
義務を果たさない飼い主さんの犬はトリミングを断る
飼い主さんが保護者としての義務を果たさない場合もトリミングは断ります。
この場合に多いのが最低限のしつけやお手入れの練習を家でやらないというもの。
トリミング中の犬の問題行動には次のような物があります。
- 人に噛みつく
⇒基本的なしつけなので論外 - 作業ができないレベルで動く
⇒片手にハサミ、片手で犬を抑えるので限界あり - 水やドライヤーでパニックを起こす
⇒いきなり倒れたりするので本当に危険 - 他の犬を威嚇する
⇒他の犬が可愛そう - ずっと吠え続ける
⇒近隣からの苦情で店ごと追い出される
ただし、ほとんどの犬は子犬の時から手におえないことはありません。
噛み癖が出そうな子や落ち着きのない子は、必ずそういう予兆があります。
ですので、トリマーとしては『家でトレーニングするか、しつけ教室に入れて下さいね。』とお伝えするのですが・・・。
しつけをしないで放置する飼い主さんが多いです。
そして、そのまま成長して手に負えなくなる犬が多いですね。
なので問題がある子って、基本的に飼い主さんが原因なんですよね。
飼主さんにしつけやお手入れの練習をする気がないと、いつまでたってもトリミングなどできません。
そのまま、お断りするパターンがほとんどです。
たまに勘違いしている飼い主さんがいるのですが、トリミングサロンはしつけ教室ではありません。
家で手におえない犬のお手入れをする場所ではないので、そこだけはお間違えなく。
これも人間と同じらしい。
このパターンに該当する飼い主さんは以下の記事でも紹介しています。
興味があればご覧下さい。
トリミングを断られる犬の特徴|お店の環境や制度と合わない
お店の環境や制度と合わなくてトリミングを断られる犬もいます。
具体的には次のような場合です。
- お店の雰囲気が犬の性格に合わない
- 年齢制限にひっかかる
- 持病がある
これはちょっと人間とは違った事情になりますね。
というか、人間の場合はこれらに該当すると自分から来なくなります。
ただし、犬の場合は飼い主さんが連れて来てしまいますからね。
お店と犬の性格が合わないとトリミングは断る
犬のトリミングを断る理由で一番悲しいのが『お店の雰囲気が犬の性格に合わない』です。
具体例をあげると次のようなことがあります。
- 人に見られるのがストレス
- 狭い or 広い場所が苦手
- 周りに犬がいる環境が苦手
最近のトリミングサロンは基本ガラス張り。
なので、誰でも簡単に見学できます。
ただ、人に見られていることがストレスになる犬というのも少なからずいるわけです。
また、窓越しに手を振られて喜ぶ犬もいれば、恐怖を感じる犬もいます。
私は苦手なので、そういう店には2度と行きません。
手なんか振られたら恐怖でしかないな・・・。
あとは狭いお店だと近くを人が通ったりするわけですが、それが気になって仕方がないワンちゃんもいます。
また最近流行りのケージレスなど、床で犬がウロウロしているお店もあり、それがストレスになる犬もいます。
なので、お店の環境自体が犬のストレスになっていると判断した場合は、飼主さんに伝えた上でトリミングのご利用をお断りする場合もあります。
犬は可哀想ですよね。
年齢制限にひっかかる犬のトリミングは断る
これも本当に申し訳ないのですが、トリミングサロンには新規の受け入れに年齢制限があります。
ですので、年齢制限にひっかかる犬のトリミングはお断りすることになります。
犬のシャンプーは全身を水につけますので、人間でいう入浴と同じ。
老犬にとっては、体への負担が大きい作業です。
元気な時から見てきた犬なら、どれぐらいの作業が負担になるのかも判断できますが・・・。
老犬で初めて見る犬だと、何が負担になるのか判断できません。
万が一があるので『ちょっと試しにやってみますねっ!』とか、そいう気持ちでできる物でもありません。
このような事態を防ぐ為にも私は複数サロンの利用をオススメしています。
CHECK
持病がある犬のトリミングは断る
持病がある犬のトリミングも基本的にはお断りすることになります。
また、1人で立つことが難しい犬もトリミングを断られる場合が多いです。
ただ、この持病はトリミングをしたことで悪化する物でなければ問題ありません。
人間の場合って持病が悪化するようなケースや、1人で椅子に座ってられない状態では基本的に美容院には来ないそうです。
ただ、犬の場合は飼い主さんが気にせずに連れて来てしまうパターンが多いです。
トリマーは動物介護士の資格を持っている人も多いので全くの素人ではありません。
ただし、この場合の専門は動物病院です。
ですので、このようなワンちゃんのトリミングもお断りすることになります。
美容行為の優先度は下げないとダメです。
このような場合は、かかりつけの動物病院でトリミングができるとスムーズです。
病院を選ぶ時に『トリミングをやっているか?』も判断基準に入れるといいですよ。
トリミングを断られる犬の特徴 ~まとめ~
今回は『トリミングを断られる犬の特徴』の解説でした。
基本的に犬に責任はなく、飼主さんやお店の環境や制度の問題というのはご理解頂けたと思います。
トリミングが断られないか心配な飼い主さんは、以下の点を気を付けてみて下さいね。
- 子犬のときから正しいしつけとお手入れの練習をする
- トリミングサロンは1つに絞らない
- かかりつけの動物病院はトリミングがある場所を選ぶ
最近では犬を家族として扱うご家庭が増えたので、犬のしつけに要求されるレベルも上がっています。
小さい時からきちんとしたしつけをしてあげて下さい。
都合の良い時だけ犬を家族と呼び、都合が悪くなると『犬だから…人間の言うことを聞かない!』とか言い出す、飼い主さんもいますが・・・。
これは一番嫌われるパターンなので、やめたほうがいいですよ!
CHECK